Mount adapter for SONY-E

SONY α 用マウントアダプタ


SONY α 系カメラは、現在 135 フィルム向け非 AF(オートフォーカス)レンズを利用するのに最も適したカメラのひとつ。現在では様々な国・メーカーでそのための製品を制作販売しており、利用レンズによって用いるアダプタは、トレンド・ニーズに即して都度変化している

Canon EF マウントに集約?

現在(2021年初頭)レンズ交換式デジタルカメラのシェア率は SONY α 系が非常に高くなってきているが、数年前は CANON EOS 系と NIKON 系のデジタル一眼 "レフ" カメラのシェア率が高く、またフルサイズデジタルカメラの選択肢が他にほぼなかったこともあり、135 フィルム用 MF レンズをマウントアダプタ経由で利用するには、フランジバックの関係で CANON EF 系カメラが非常に適していた。

マウントに関して

レンズ交換式カメラは、レンズを装着する為のマウントを規格化しており、カメラとレンズのマウント企画が共通でなければレンズは装着できない。どこかのメーカーのカメラを購入するということは、基本的にはそのカメラメーカーのレンズのみしか利用できなくなるが、日本のカメラ業界の隆盛に伴い TAMRON や Tokina、Cosina といったレンズ専用メーカーが各カメラメーカーの様々なマウントを備えたレンズを販売しており、それらを利用することもできる。

現在、例えばビックカメラで販売しているフルサイズレンズ交換式デジタル一眼 / 一眼レフカメラのマウントを挙げだすなら、Canon EF、Canon RF、Nikon F、Nikon Z、Pentax K、SONY E、SONY A、Leica M、Leica L MOUNT(39mm スクリューではない 2018 年発表の企画)あたりだろうか。単一メーカーで複数マウントが存在しているのは、一眼レフ用とミラーレス一眼用の規格が異なる為だが、一眼レフカメラ用レンズは、自社のミラーレス一眼カメラで利用できるマウントアダプタが純正で用意されている。

そして当然、現在は販売されていないが過去に存在したマウントも非常に多く存在する。

Canon EF マウントボディーで利用できるレンズ

EOSSONY E
M42
Exakta
Konica AR×
Minolta MD×
Pentax K
Canon FL / FD×
Nikon F
Y / C
Olympus OM
Olympus Pen F×
Praktica B
TOPCON UV
Kowa R×
Miranda×
DKL
Rollei QBM

EOS EF 用マウントアダプタ
左上から M42、Exakta、Nikon、Olympus OM、Pentax K、Praktica B、DKL、Rollei QBM

Canon EOS EF マウント見出しに書いておきながら SONY E マウントも記載してしまったが、× がついている箇所は、マウントアダプタで物理的に装着することは可能だが、無限遠にピントを合わせることができない組み合わせで、装着しても数メートルないし、数十センチまでしかピントが合わない。△ はミラーにレンズが当たる、○ は MF のみ、加工が若干必要、など…。× がついている組み合わせでも、補正レンズ付きの焦点距離が 1.5 倍になる代わりに無限遠が出るアダプタも存在するが、画質も下がる為推奨はできない。

因みにこれが Nikon F マウントカメラとなると、◎ が付くのは恐らく Nikon F 欄のみとなり、また SONY E マウントは表の通りすべてのレンズに◎が付く。

マウントアダプタが兼ねる役割

例えば、メルカリで 1,000 円で売っている M42 マウントの Pentax Supar Takumar 50mm/1.8 のみを使うなら、M42 to SONY-E マウントアダプタを購入すれば OK。ただし、M42 マウントレンズ以外のマウントのレンズも利用したいような場合、すべてのマウントアダプタを揃えても良いが、ここ数年のデジタル一眼 / 一眼レフの市場を加味した上で、個人的にはだが Canon EF、Leica-M の2つのマウントに集約し、更にそれぞれ2つのマウントアダプタを組み合わせるのが良いと考えている。

何故 Canon EF と Leica-M に集約するのが良いのかと言うと…

推奨するアダプタ

1. Canon EF to SONY-E

SONY E ボディ × Canon EF マウントアダプタの組み合わせでは、有名マウントでは Konica AR、Minolta MD、Canon FL / FD マウントは利用できないが、Olympus OM、M42、Exakta、Pentax K マウントや、ニッチな所では Rollei QBM、Praktica B、DKL などが利用可能。更に、アダプタ次第でレンズ本体が持つ最短撮影距離より更に近接撮影が可能で、且つ、アダプタによっては Tilt 撮影が可能

これはあくまでも CANON EF マウントを介した SONY アルファ系カメラでの利用が推奨であって、Canon EF マウント系カメラ(EOS)では、レンズによってはミラーが当たる等の制限により、そこまで推奨はできない。とはいえ、EOS 6D 初期型などは他の EOS 機種よりミラーがあたりにくく、中古で安価で手に入る為、Olympus OM や あまり後玉が出ていない M42 マウントレンズを割り切って使うなら良いかもしれない。

2. Leica-M to SONY-E

SONY-E ボディ × Leica-M マウントアダプタでは、Canon EF to SONY-E ほどではないにせよ、アダプタによってはレンズ本来の最短撮影距離よりも若干近接撮影が可能で、且つほぼ全てのマウントのレンズがマウントアダプタ経由で利用可能。ただし Tilt 撮影ができるアダプタの存在は確認できていない。

EOS EF と Leica-M に集約した SONY-E 用マウントアダプタ
上段がヘリコイド付き CANON EF to SONY-E アダプタと、各マウント to CANON EF。下段はヘリコイド付き Leica-M to SONY-E と、各種マウント to Leica-M マウントアダプタ。

というわけで推奨組み合わせは…

Canon EF でフランジバックが出るマウントは EF に集約、それ以外は Leica-M に集約、更に、フォーカシングヘリコイド付きの Canon EF と SONY-E と、フォーカシングヘリコイド付き Leica-M to SONY-Eを組み合わせて使う。細かいが DKL マウントレンズに関しては、M42 to Canon EF と DKL to M42 を組み合わせて使うのが現実的(DKL to Canon EF アダプタはほぼ存在していない)。

ヘリコイドの有無

Leica-M to SONY E

ヘリコイドなし Leica-M to SONY-E マウントアダプタ(左)と、ヘリコイド付き Leica-M to SONY-E マウントアダプタ(右)
左がヘリコイド付きアダプタの最長状態、右はヘリコイドのない通常のマウントアダプタ。

Canon EF to SONY E

ヘリコイドなし CANON EF to SONY-E マウントアダプタ(左)と、最大に伸ばした状態のヘリコイド付き CANON EF to SONY-E マウントアダプタ(中心)、最大に傾けた状態の Tilt 機能付き CANON EF to SONY-E マウントアダプタ(右)
左がヘリコイドなし。中心はヘリコイド付きアダプタの最長状態、右は Tilt 機能付き。

ヘリコイドの有無で何が違うかと言うと、例えば最短撮影距離 70mm の 50mm/1.5 のレンズが、40mm まで寄って撮影することが可能になる。Tilt 機能付きアダプタは、簡単に言うと上下左右を盛大にぼかし、ミニチュア写真のような表現が可能になる。

ヘリコイド付きアダプタは、当然ながら若干高価になるため、近接撮影は不要ということであれば敢えて用意する必要はないし、Tilt も同様。また、200mm を超えるような大きく重いレンズは、ヘリコイドに負担がかかり強度的にも不安が出るため、ヘリコイドなしのほうが良いこともある。

ヘリコイド付きアダプタにより最短撮影距離 70cm が 40cm になるということは… レストランやカフェでテーブルの上のものを撮影しようと思った際、例えば L39 マウントレンズではピントが合うのはテーブルの向かい合わせに座っている方の料理が関の山。クローズアップレンズやエクステンションチューブを用いても良いが、装着したり外したり、料理を前にあからさまな撮っている感は避けたいところ。ヘリコイドがあると目の前の料理にもおよそピントが合わせられるようになり、十数センチは小さいようで意外と大きい。

その他

マウントアダプタの購入

ebay が俄然種類が多く、安い。
次いで Ali Express、最後に Amazon あたり。単一のレンズを使いたいだけなら、Amazon で購入で十分だと思うが、複数揃えたいなら ebay での購入がおすすめ。いわゆる海外オークションの為、購入するためにはそこそこのプロセスを踏む必要はあるが、一度登録が済んでしまえばアダプタに限らず様々なものが安価で購入できる。因みにアダプタに限らない ebay での取引回数は 500 回を超えているが、購入したものが届かなかったケースは数える程しかない。

価格は、ヘリコイド付きアダプタが 3,000〜5,000円、各種マウント to Canon EF アダプタは100円〜 1,500円程度、各種マウント to SONY E は 1,500 〜 3,000 円程度。Leica-M to SONY-E アダプタは、Cosina: Voigtlander 製、VM-E CLose Focus Adapter をサポートの意味も含めて推奨したいが、中国製アダプタと比較すると金額は 30,000 円〜と 0 が一つ増えるほど張る。

冒頭に書いた、ボディ側のトレンドの変化に伴い、to Canon EF アダプタは今後減っていくと考えられる為、それを念頭にどのアタプダを用意するのかを検討する必要もある。

42mm 系ヘリコイド

M42 to M42 ヘリコイド

M42 マウントというのは、42mm 径、1mm ピッチのネジ山マウントのこと。当時、規格は特許化されることなく公開され、ユニバーサルマウントと呼ばれるほど様々なブランドにより、いわゆる M42 マウントレンズが制作・販売されたが、その背景のおかげか、現在 42mm 径 1mm ピッチの規格を用いた様々なヘリコイドが存在する。

一番左が 1mm 厚の M42 to SONY-E アダプタ、一番左のヘリコイドにねじ込んである。左3つは厚み違いのヘリコイド付きM42 to M42 アダプタ。左から4つ目のヘリコイド付きアダプタは M52 to M42 と口径が若干大きいが、これはマウント口径が M42 に近いがフランジバックが短いレンズの、フランジバックを稼ぐ最に役立つもの。一番右は M39 to M42 リングで、主にロシア製の、フランジバックは M42 マウントレンズと共通だがネジ山が 39mm 系のレンズを、M42 マウントとして利用できるようにするもの。引き伸ばし機用の L39 マウントレンズを M42 化する際にも使える。さらにその左のリングは、Pentax(旭光学)から発売されていたマウントのネジ山が 37mm のレンズを、M42 マウントレンズとして変換するためのリング。

ヘリコイド付き M42 to M42、M42 to M52 アダプタは、最薄で 10mm 程度のものから、最長で 100mm ほど伸縮するものがある。SONY α 系カメラで利用するためには、厚さ 1mm の M42 to SONY E アダプタとの組み合わせで当然 M42 マウントレンズは利用できるし(無限元が出るかどうかはヘリコイド長による)、L39 マウントの引き伸ばし用レンズ(フランジバックはいわゆる Leica-L マウントとは異なる)を、100 円程度で購入できる M42 to L39 変換リングを噛ませて(写真一番右)撮影することもできる。

引き伸ばし機用レンズ

引き伸ばし機用レンズというのは、いわゆる暗室でフィルムから印画紙に映像を転写する際に使うレンズ。とはいえ、フランジバックさえ合わせてしまえば通常撮影にも使える。引き伸ばし機用レンズはシャープさが問われ、また明るさは基本的には問われない為、開放 F 値は暗め。描写に関しては古いものは暗部が潰れがちだったり、絞りも四角だったり、フランジバックもレンズによりまちまち、など一筋縄では行かないが、一方そこが楽しいとも言える。

引き伸ばしレンズと一口に言ってもマウントは様々だが、代表的なマウントの L39 マウントの引き伸ばし機用レンズは、中古カメラ屋さんでは 500 円程度から、メルカリなどでは安いものは 100円程度から購入できる。レンズ名称には、Enlarging の E または、EL 等が付くことが多い。また、L39 と言っても、Leica-L マウントの L39 のように決まったフランジバックがあるわけではなく、フランジバックがレンズにより異なる為、様々なフランジバックに答える為に長さの異なる M42 to M42 ヘリコイドが必要になってくる。

M42 アダプタ

3種の M42 マウントアダプタ

M42 マウントアダプタは大きく三種存在しており、左がピン押しタイプ、右側がピンを押さないタイプ。中心のものはかなりニッチだが、周辺部分が薄くなっており、一部の富士フィルム製 M42 マウントレンズのねじ込み位置を固定させる為の突起や、オリンパス FTL 用の M42 マウントレンズのマウント部の出っ張りを回避できる。ピン押しタイプは、レンズ側に M / A といった、変更した絞りを即時で絞り込むか、レンズ後ろのピンを押した際だけ絞り込む切り替えレバーがついていないタイプのレンズの場合に必要。

『手持ちのレンズを全て利用するには三種のアダプタ全てが必要』、というような場合、M42 to SONY-E アダプタを三種全て揃えると、費用もそれなりでかさばるが、CANON EF に集約することで、安価で、しかもヘリコイド付きアダプタで近接撮影や、Tilt 撮影も可能になる。

更に…

様々なアダプタ

写真左上は Pen-F to SONY-E アダプタ、これは Leica-M よりもフランジバックが短く、SONY-E 直結のものを用意する必要があり、ヘリコイド付きのものは見たことがない。その右はプラスチック製の安価なエクステンションチューブだが、フランジバックの調整や、ヘリコイドなしレンズの近接撮影時にも当然役立つ。上段右は C-mount レンズ用アダプタだが、無限源も出る為、イメージサークル(レンズがフィルム面に画像を写す領域のサイズ)次第では C-mount レンズも活用できる。個人的には C-mount レンズはデジタルの Pen など MFT(マイクロフォーサーズ)カメラが一番だと思うが…。

下段はヘリコイド付き Leica-M to SONY-E マウントアダプタだが、Leica-L to Leica-M マウントアダプタを用いれば、いわゆる Leica-L マウントレンズでの通常撮影と近接撮影も可能になり、更に例えばレンズ固定式カメラについているレンズなども、フランジバックが出る形で 39mm のネジ山を付けることができれば、もともと交換レンズでないものも交換レンズ同様に利用することができる。3D-PLeMA のページで一部アダプタを紹介しているで興味があれば。

カメラボディの変更・追加

Leica-M と Canon EF に集約するメリットとして、カメラメーカーの変更やカメラの複数所持にも対応できる点がある。

例えば、Fujifilm の X マウントカメラで利用したいのであれば、Leica-M to Fuji X マウントアダプタを用意するだけでよく、マイクロフォーサーズの Olympus Pen も同様。いずれも、ヘリコイドなしのアダプタは安価で購入でき、ヘリコイド付きのものでも 2,000 - 4,000 円程度で購入が可能。ただし、ヘリコイド付き Leica-M to M4/3 アダプタは、昨今数が極端に減ってきている。

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