お宿までの過酷な道のり

湯楽亭を更に南下した先、天草南部にある『隠れキリシタン』時代より続く教会群も気になっており、行きたいと思っていた。が、寄り道を色々した結果そこそこ時間が経ってしまった。世界遺産登録も申請中とのことで悩んだが、お腹も減ってきた。やや南下した場所にあった「浜崎鮮魚浜んくら」でお刺身づくし定食をいただき、悩んだ結果そのままお宿へ向かうことにする。

北天草、『浜崎鮮魚浜んくら』のお刺身づくし定食

Taken lens: Carl Zeiss Jena Flektogon 2.4/35 ©PULP.photo, All Rights Reserved.

腰もレンズも壊す、国道と呼ばれるほぼ十割が一車線の路

言葉では形容するのが難しい、想像していなかった道程。
山が立っている。

今回持っていったレンズは Schneide Xenon 50m/1.9、Flektogon 35mm/2.4、Jupiter-12 35mm/2.8 の三本だったが、35mm では写しきれない広大で切り立った山、山、山。
道路は、崖を切り欠いて作ったのであろう。車の都合は一旦無視して X 軸のみを優先にした結果、『恐るべき曲がりくねった国道』が完成してしまったようだ。

道中、落石注意の看板も多く立ち並び、しかもガードレールに小さな木でできた鳥居のようなものが数多く設置してある。『安全第一』といった所なのだろうか…。
下の地図の中ほども是非拡大して見て欲しい。運転好きには堪らない道とも言える。

地図の上から2本めのピンの位置で撮った写真。切り立った木々

Taken lens: Carl Zeiss Jena Flektogon 2.4/35 ©PULP.photo, All Rights Reserved.

切り立った山を削って作られた『一車線の国道』を進む

Taken lens: Carl Zeiss Jena Flektogon 2.4/35 ©PULP.photo, All Rights Reserved.

確か山道に入った時点でカーナビは到着まで2時間近くを指していた。
こんな山道を2時間も走る…?対向車が来る度にバックしなくてはならないわけで、到着まで最終的に一体どれだけ時間がかかるのか…

などと考えていたものの、実際にはバックすることは一度もなく、対向車も4、5台のみだった。

余裕で100回は繰り返したのではないかと思える連続ヘアピンが落ち着いた後は、長い下り道。しばらく下ったところで、右手に大きな吊橋が見えてくる。
こんな山奥にある吊橋な以上、相当スリリングな木製のとにかく揺れまくるようなものを想像していたのだが、予想に反して、強靭なピアノ線で張られた丈夫な現代技術の粋を極めた金属製の橋だった。

目的の民宿、佐倉荘の直前にある梅の木轟公園吊橋

Taken lens: Carl Zeiss Jena Flektogon 2.4/35 ©PULP.photo, All Rights Reserved.

目的の民宿、佐倉荘の直前にある梅の木轟公園吊橋

Taken lens: Carl Zeiss Jena Flektogon 2.4/35 ©PULP.photo, All Rights Reserved.

序盤の写真頭になれない状況とは裏原に、ようやく徐々に写真欲が湧いてきたので橋やら何やらを撮影。ところが、写る写真に大きな違和感が…。

画面の端が合焦しない。
普段、数奇なレンズを使う事が多いので、撮影をしていて画面の端が合焦しないなんてよくあることだが、今使っているレンズはカール・ツァイスはフレクトゴンの 35mm F2.4。久しぶりに持ち出したとはいえ、このレンズは隅まで破綻なく写るはずだ。
考えられるのはレンズの偏芯。前後のエレメントはガタついていないので、内部のエレメントが緩んでしまっているのだろう。恐らく幾度となく繰り返したヘアピンの揺れのせいで。

人民公社時代の Carl Zeiss、特に Prakticar 世代のものは作りがあまり良くない。
Icarex 用のレンズも、素材と質感は悪くないもののクリアランスが良くないと感じる事があるが、Praktica 用レンズは可動域にプラスチックを使う事が多く、特に絞りにトラブルが多い。