Date:
2019年10月30日
Place:
日光
Lens:
Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm


日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019-10-30

まるで油絵のようだが彩度が低い為に水彩画のような描写を見せる 1905 年製と思しい Hugo Meyer Kinon III。

『特別』ではなく日常のありのままを捉えた写実主義、特によく写真の良し悪しの視点として挙がる構図の視点で言えば特にミレーなどの『写真スキル』は神がかっていると言える。また、書き上がった絵画を、単に絵画そのものとして評価をすることはその価値をすべて示すことにはならず、絵画はその絵画が存在し得ることになった背景を知ることでその絵画への興味やその絵画の価値が増すことに議論の余地はない。

このロクにピントが合焦もしないような Hugo Meyer Kinon III で撮影した写真と、現代の見たままを写し取るレンズで撮影した写真の出来上がりが決定的に異なることは明らかだが、異なるのはレンズのみである。描写が異なるその出来上がった写真を、見た目のみで評価することは絵画の評価視点で言えば不足が大きいと言えるだろうか。絵画の視点で言えばその背景を知ることで更に興味や価値が増すことに疑いの余地は無い筈だが、写真、ことレンズの歴史や背景を知ることには、価値が伴うだろうか。また絵画と異なり、全く同じシチュエーションでレンズのみを変えて撮影することが可能であり、撮影に至る背景が全く同一ということが写真ではあり得る。

『レンズの希少性とその写りには相関がない』とはカメラ・レンズ業界に深く足を踏み入れてしまった人はおよそ向き合うことになる事実だが、いずれにせよその発想は、レンズというモノに対してのものである。
絵画が、絵画そのものだけでなく知る事で価値が増す対象は『人』だが、レンズは『物』、おそらく前提として重みが違う。但し、写真を撮影するためのモノであるレンズは、そのレンズが制作され世に出回る為に関わっているのが『人』であり、また『歴史』なのは疑いの余地がない。

レンズ沼の深さはこういったところにある。

日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影
日光 w/ Hugo Meyer & Co - Goerlitz Kinon III 60mm - 2019年10月30日撮影

フルサイズをカバーする標準域画角のプロジェクションレンズは珍しい。

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